ファッキン・プリースト (マードック×2D スチューポット最後の日後の話










小気味よいリズムのドラムスみたいにスタッカートでやつの人生は二転三転前転宙返り。

華麗に決まったスティック捌きの月面宙返りは綺麗に弧を描いてストンと降りた先は暖かい両手ではなく綺麗に並んだレールが引いてあってそれを前に進む以外に道は?




「誰がお前のその声を活かせると思うんだ」

ジーザス、ちょっと前まで信じてた神様へ。
嗚呼、僕はもう彼を頼る意外に何も無いと判ったのはその時だった。













歪んだ音はディストーション程明るくも無い、オーバードライブ程柔らかくも無い。

歪んだ音は硬くてそして甘かった。酷い話だ、歪み切って奇数でも偶数でもないまるで僕等の人生みたい。







そんな奴の目を、ちょっとこ綺麗な鼻を、やたら長い足はもう見る影も無い。
包帯まみれの顔はミイラ人間の様で可哀想に

目覚めて一言こう言った

「あんた、僕の兄弟?恋人?まさか父さんって訳じゃないよね」

駄目だ、こりゃ、頭がイカレて使い物にならない。

頭に足に体中に包帯つけたそいつは深淵の美女じゃなくて深淵の美丈夫だった。

顔だけは。

「どれでもねえな、あえて言うなら赤の他人だ。」
「そうなの…残念。ねえ一つ聞きたいんだけど」
「なんだ」
一度言いづらそうに視線を彷徨わせて、といっても目は包帯に隠れて無いので、顔をあちらこちら向けたあとに少し俯いて奴はこう言った

「僕の名前って…」

「…」


「なぁ、僕の名前って…何?」


「…」


絶句